生 ABPC 耐性(BLPAR),BL 非産生 ABPC 耐性(BLNAR),BL 産生 AMPC/CVA 耐性(BLPACR)など,様々


ペニシリン系抗菌薬(以下、PC薬)は人類が手にした初めての抗生物質です。1928年に英国のフレミングが発見しながら精製は出来なかった抗菌作用のある物質を、1940年に英国のフローリーとチェインが精製に成功したのがPC薬の歴史の始まりです。PC薬は、抗菌活性の本体である4員環のβ-ラクタム環に5員環のチアゾリジン環(6-APA)が接合した化学構造を持ち、β-ラクタム環の側鎖などを中心に様々な化学修飾を行うことが出来るため、多くのPC薬が実用化されました。さらにその後、セフェム系薬やカルバペネム系薬など様々なβ-ラクタム系薬、およびそれ以外の様々な系統の抗菌薬が開発される端緒ともなったのですが、PC薬は抗菌活性の及ぶ範囲がやや狭いこと(狭域スペクトラム)もあって、その有用性は過小評価されるようになりました。しかし、広域スペクトラムで強力な抗菌活性を有する新たな抗菌薬が広範に使われるに及んで耐性菌が増加したため、PC薬は再評価されるに至っています。筆者はPC薬を5つのグループに分けて考えていますが、この群別を知ることで効果的なPC薬の選択が可能になります。


例を対象に検討したところ、アモキシシリン 30-40mg/kg/日の経口投与、アンピシリ.

PC薬の第1群はベンジルペニシリン(PCG)に代表される古典的なPCsです。高い効果を挙げましたが、グラム陽性球菌にのみ抗菌活性を示し、β-ラクタマーゼ、特にペニシリナーゼ(PCase)に加水分解される弱点があります。また、PCGは胃酸に不安定で経口吸収率が低い欠点があり、その点を改良した経口用半合成PCsが3剤実用化されています。PC薬の第2群は、1950年代に問題となったPCase産生ブドウ球菌に対して開発されたメチシリン(DMPPC)がその代表であり、PCaseに安定で分解されません。DMPPCは酸に不安定で経口では使用出来ませんが、経口使用が可能な4剤が実用化されています。ただ、抗菌スペクトラムはいずれもグラム陽性球菌に限定されます。

PC薬の第3群は、PCG骨格の6位側鎖にアミノ基を導入して吸収後の体内持続性とグラム陰性桿菌の外膜透過性を実現したため、広域PCsと位置付けられてPC薬全体の代表ともいえます。この群の代表はアンピシリン(ABPC)と、その経口吸収性を改善したアモキシシリン(AMPC)であって、今日でも有用性は衰えず、PC薬の中で最も繁用されています。ABPCとAMPC以外にも多くの薬剤が使われていますが、PCaseには不安定です。PC薬の第4群は6位側鎖にamidino構造を持つPC薬であり、グラム陽性球菌への抗菌活性は不十分ですが、グラム陰性桿菌にはABPCより強い抗菌活性を示します。PCaseにはやはり不安定です。

ABPC(含む誘導体)・AMPCが無効であるクレブシエラ属、プロテウス・ブルガリス ..

PC薬の第5群はABPCをさらに発展させたPC薬です。グラム陽性球菌に対する抗菌力はABPCよりやや劣るものの、ABPC耐性の腸内細菌や緑膿菌など各種グラム陰性桿菌に対する抗菌力が増強されており、PC薬全体のもう一つの代表です。緑膿菌に対する抗菌力は強力ではありませんが毒性が低いため、1日投与量を最大20~30gまで増量し得るような薬剤もあります。特に緑膿菌に対する抗菌力を強化した薬剤として今日も多く使われるのがピペラシリン(PIPC)であり、胆汁中への移行が良いなどの特性を有します。第5群のPC薬全体に共通する弱点は、グラム陽性球菌に対してABPCより抗菌力がやや劣ること、および依然として残るPCaseに対する不安定性です。なお、第3群と第5群のPCsには、β-ラクタマーゼ阻害薬と配合した薬剤がありますが、「」の項を参照してください。

高K血症と血管痛:PCG100万単位中カリウムが1.53 mEq含まれるため末梢点滴から投与する場合、カリウム濃度と投与速度に注意が必要です。また高用量を投与すると血管痛や静脈炎が生じやすいため、溶解液量を増やす(例えば通常1回投与あたり100 mLの溶解液を250 mLに増量する、または500 mLに溶かし持続投与にする)、長時間(例えば2時間以上)かけて投与するとよいでしょう。

とした。 一般臨床試験での経口のABPC(含む誘導体)・AMPC前投与無効例に対

PC薬は他のβ-ラクタム系薬と同様、抗菌作用の基本はβ-ラクタム環です。β-ラクタム環は、炭素原子3個と窒素原子1個で環状に閉じた構造を持っていますが、この構造は細胞壁を構成するペプチドグリカンの前駆体のD-アラニン-D-アラニン(D-Ala-D-Ala)の構造とよく似ています。そのため、トランスペプチダーゼがD-Ala-D-Alaと間違えてβ-ラクタム環を取り込んでしまい、その結果、脆弱な細胞壁が作られ、内部の高い浸透圧を支えきれずに溶菌・死滅してしまうのです。PC薬が殺菌的な抗菌薬である理由です。

PC薬の多くは投与後の血中濃度の持続が短く、血中半減期が1時間以内のものが多くなっています。しかし、PC薬は他のβ-ラクタム系薬と同様、時間依存性の薬剤ですから、4時間毎とか6時間毎の分割投与によって強い抗菌作用が得られます。また、他のβ-ラクタム系薬と同様、炎症組織への移行は高率ですが、炎症が終息に向かうと移行は低率になります。PC薬の多くは腎排泄型ですから、腎機能が低下している症例では用法・用量の調整が必要であり、腎機能低下の度合いに応じて調節します。

アモキシシリン/クラブラン酸は、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗菌薬で、本邦で

PC薬耐性の機序は主にβ-ラクタマーゼによる加水分解とペニシリン結合蛋白(PBP)の変異による結合親和性の低下です。β-ラクタマーゼはPC薬と結合する力が強く、そのためPC薬は本来の標的であるPBPへ結合する前にβ-ラクタマーゼと結合してしまい、β-ラクタム環が加水分解されて開裂し、抗菌活性を失うのです。β-ラクタマーゼ産生による耐性化は多くの菌種で認められており、モラクセラ・カタラーリスや各種の腸内細菌、緑膿菌、嫌気性のバクテロイデス・フラジリスではほぼ100%、黄色ブドウ球菌の過半数、インフルエンザ菌でも10%以上を占めます。PBPには複数の種類がありますから、どの種類のPBPが変異するかによっていろいろな薬剤への耐性が複雑に生じます。代表は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)ですが、その分離頻度はいずれも横ばい~やや減少の傾向です。

ペニシリンG(PCG)は抗菌スペクトルは狭いですが、抗菌活性※2は高く、第一に使い方を覚えるべき抗菌薬です。半減期が約30分と短く時間依存性※3の抗菌薬であり、1日4~6回の頻回投与または1日必要量を2~3分割して持続投与を行います。PCG 100万単位を重さに換算すると約0.6 gとなります。最大用量である2,400万単位=14.4 gと概算すると投与量をイメージしやすいと思います。


2 検査項目 試料中に含まれる病原細菌のアンピシリン(ABPC)、アモキシシリン/クラブラン酸

注射用PC薬は薬剤あるいは疾患ごとに考えます。Viridance Streptococciによる感染性心内膜炎に対しては、ベンジルペニシリン(PCG)の最小発育阻止濃度(MIC)を見極めながら、PCGとゲンタマイシン(GM)を併用投与します。PC感受性の肺炎球菌や髄膜炎菌による髄膜炎に対しては、ABPCあるいはPCGの投与が標的治療となり、リステリア・モノサイトゲネスによる場合はABPCの投与がやはり標的治療となります。院内肺炎や医療・介護関連肺炎では、耐性菌リスクがない場合はスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)が、リスクがある場合や緑膿菌も想定される場合にはタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)がエンピリック治療の有力な選択肢になります。TAZ/PIPCは他に、免疫不全例の敗血症や好中球減少性発熱などで緑膿菌も想定される場合に選択肢となります。

② 抗菌スペクトルが広いもの:アンピシリン(ABPC)、アモキシシリン(AMPC)、.

使い分けや覚え方に腐心する抗菌薬。今回はその中のを、公立大学法人 横浜市立大学附属病院 血液・リウマチ・感染症内科の副島 裕太郎 先生に解説していただき、一覧にまとめました。

[PDF] 外来での抗菌薬適正使用手引き (成人編 第 5 版 2024.1)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やメチシリン耐性ブドウ球菌(MRS)のように、PBPの構造が変化しβラクタム薬がPBPに結合できなくなると、細胞壁合成を阻害できずすべてのβラクタム薬は抗菌活性を失います。MRSAやMRSは主にバンコマイシンに代表される抗MRSA薬で治療します。

シリン(ABPC)、アモキシシリン(AMPC)、オキサシリン(MPIPC)、

青カビから分離された天然抗生物質です。スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬と言えるでしょう。半減期が短いため、4時間ごとの点滴もしくは24時間持続点滴で投与(腎機能正常の場合)します。

分離 60株の成績では, ABPC, アモキシシリン (AMPC).

日本感染症学会専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会指導医。東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発寄附研究部門教授・日本感染症学会理事・日本結核病学会理事長・日本化学療法学会理事長を歴任。2013年、結核医療とインフルエンザ医療に関する貢献で第65回保健文化賞,2017年、抗インフルエンザ薬の臨床開発とインフルエンザ感染症対策の推進への貢献で日本化学療法学会の第28回志賀 潔・秦 佐八郎記念賞を受賞している。

ペニシリン系抗生物質であるアンピシリン(ABPC)、アモキシシリン(AMPC)、ベンジル

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ペニシリン系抗生物質:アモキシシリン・アンピシリン(ABPC・AMPC)

ペニシリン系抗菌薬を加水分解できるβラクタマーゼであるペニシリナーゼを産生するメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)や一部のインフルエンザ菌、モラキセラ、バクテロイデスはペニシリン系薬を分解します。このようなβラクタマーゼ産生菌はβラクタマーゼを阻害するスルバクタム(SBT)やクラブラン酸(CVA)、タゾバクタム(TAZ)が配合されたABPC/SBT、AMPC/CVA、PIPC/TAZといった合剤で治療します※1

[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020

消化器症状
悪心・嘔吐:とくにベンジルペニシリンやアモキシシリンで多く起こります。
下痢:抗菌薬自体の副作用だけでなく、()感染症によるものもあります。

①横隔膜より上、すなわち口腔内の嫌気性菌が関与する感染症に対しての抗菌薬は、アンピシリン/スルバクタム(ABPC ..

欧米では経口吸収率のよいpenicilin Vが使用できるが、本邦では使用できません。
ペニシリンGの内服薬(バイシリン)をどうしても使用したい場合(例:GAS咽頭炎疑いだが伝染性単核球症がどうしても除外できずアモキシシリンを使いづらい場合)は、胃酸の影響を受けにくい空腹時の投与を検討しましょう。

[PDF] 2016年05月 『術後感染予防抗菌薬適正使用について』

細菌が産生するβラクタマーゼを阻害する成分(スルバクタム)を配合したことで、本来ペニシリン系に耐性のある細菌にもスペクトラムが拡大した薬剤です。

SBT/ABPC:スルバクタム/アンピシリン,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,AMPC:アモキシシリン,

ピペラシリンにβ-ラクタマーゼ阻害薬であるタゾバクタムが配合されています。
アンピシリン/スルバクタムとの違いは、耐性傾向の強いグラム陰性桿菌への抗菌活性です。院内発症の感染症や免疫不全者の感染症で、緑膿菌などのSPACEや嫌気性菌のカバーを確実に行いたい場合に使用すべき抗菌薬ですが、濫用は慎むべきでしょう。

ABPC/SBT)。僅差で、経口薬であるアモキシシリン(AMPC)が続いた。 診療科別:ペニシリン系で用意したい抗菌薬はこれ

ペニシリン系抗菌薬はβラクタム環を有するβラクタム薬の一種で、多くの細菌感染症の第一選択薬です。細菌の細胞壁を合成する酵素であるペニシリン結合タンパク(PBP)に結合し、細胞壁合成を阻害することで殺菌的作用を示します

[PDF] 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン

院内発症の腹腔内・骨盤内感染症
発熱性好中球減少症(嫌気性菌までカバーしたい場合)
緑膿菌までカバーしたい肺炎
※基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase:ESBL)産生菌への有効性については議論の分かれるところです。