なぜ抗生物質は飲みきらないといけないのか? | フラワー薬局通信
AHA(米国心臓協会)の予防投薬の指針が1997から2007で大きく変わりました。予防対象はかなり狭まり、予防すべき歯科処置は広範囲になりました。これを採用するかどうか皆さん迷われているようです。私は大きな外科処置のまえにはアモキシシリン2gを投与しています。
抗生物質の質問です。レボフロキサシンとアモキシシリンはどっちの方が強い薬ですか?
尿路からの細菌侵入が原因となることが多いため、中でも若い女性では、1種類の細菌が原因となる単純性膀胱炎の可能性が高くなり、また、もちろん、病院などでは尿沈渣の鏡検を行い、これらの区別をすることが最も大切なことになります。
さて皆さんは、膀胱炎の患者さんを診るとどんな抗菌薬が思い浮かびますか?セフェム系?ニューキノロン系?そう!合っています。ただし、どちらを使うべきか正しく区別できているでしょうか?
レボフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬は、非常に切れ味もよく、1日1回程度の内服で済むことから、よく使用される薬の1つです。ただ、便利に使用できるからこそ耐性が大きな問題になっており、現在のガイドラインでは以下のように区別して使用することが推奨されています。
上記の重症度、リスクファクター、原因菌の推定を加味して、抗菌薬を選んでいくわけですが、大人における基本の治療もアモキシシリンであり、投与期間は5日間を原則します。
◎アモキシシリンの主な代替薬はセファレキシン、マクロライド系抗菌薬、クリンダマイシンである。
バイオアベイラビリティ(bioavailability)とは薬が”どれだけ全身の循環血液に到達するのかという指標です。「生物学的利用能」とも呼びます。薬物は吸収されてから必ず肝臓を通過し解毒されます。(肝臓で洗礼を受ける?)どれだけ解毒されずに残ったかが大事です。 消化管(特に胃酸)でも薬効が減少します
治療4, 5)
ペニシリンG(バイシリンG®)が第一選択であったが、現在国内で流通していない。そのため、現在は、アモキシシリンを第1選択とする。ただし、EBウイルスによる伝染性単核球症(GAS咽頭炎と症状・所見が似ている)の場合、高率に皮疹を起こすので、注意して使用する。ペニシリンアレルギーがある場合にはクリンダマイシンを使用するが、即時型反応でなければセファレキシンを検討してもよい。日本ではマクロライド耐性溶連菌が増加しているのでクラリスロマイシンやアジスロマイシンは使わない。咽頭炎にレボフロキサシンや広域セファロスポリンを用いる意義はない。難治性、再発性の場合、扁桃周囲膿瘍などの重症例を疑う場合は、感染症コンサルトを考慮する。
[PDF] 2.高齢者における抗菌薬の考え方,使い方 経口薬編
抗菌薬の使用は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)を含むウイルスに対し、効果のない治療法であることは自明である。そこで、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のSharon V Tsay氏らは新型コロナ外来の高齢者に対する抗菌薬の処方状況を調査した。その結果、メディケア被保険者の新型コロナ外来患者の30%に抗菌薬が処方されており、そのうち50.7%がアジスロマイシンであったことも明らかになった。JAMA誌オンライン版2022年4月8日号にリサーチレターとして掲載された。
本研究は医療保険メディケアののイベントファイルを使用し、新型コロナ外来患者の診察とそれに関連して抗菌薬を処方された65歳以上の被保険者を特定。また、年齢、性別、人種、処方場所ごとに、抗菌薬を「処方された」または「処方されなかった」新型コロナ感染した被保険者の分布を比較するために、カイ二乗検定を行った。
主な結果は以下のとおり。
・2020年4月~2021年4月の期間、116万9,120例が外来受診し、そのうち34万6,204例(29.6%)に抗菌薬が処方されていた。処方量は月ごとに異なり、新型コロナが感染拡大した2020~21年の冬にはその処方割合は高くなった(範囲:17.5%[2020年5月]~33.3%[2020年10月])。
・処方は病院の救急外来が最も高く(33.9%)、次に遠隔診療(28.4%)、Urgent care(25.8%)、診療所(23.9%)と続いた。
・最も頻繁に処方された抗菌薬はアジスロマイシン(50.7%)であり、次にドキシサイクリン(13.0%)、アモキシシリン(9.4%)、レボフロキサシン(6.7%)だった。
・アジスロマイシンの処方割合が最も高かったのはUrgent care(60.1%)で、遠隔医療(55.7%)、診療所(51.5%)、病院の救急外来(47.4%)と続いた。
・年齢、性別、処方場所にも違いが観察された。
・非ヒスパニック系白人患者には、ほかの人種および民族グループ(アメリカインディアン/アラスカ先住民24.1%、アジア/太平洋諸島人26.5%、黒人またはアフリカ系アメリカ人23.2%、ヒスパニック系28.8%)よりも頻繁に新型コロナに対して抗菌薬が処方されていた(30.6%)。
なお、研究者らは「新型コロナ治療にアジスロマイシンの利点は示されていないうえ、抗菌薬の耐性に影響を及ぼす。また、本研究は米国全人口やメディケア処方薬の適用範囲ではない65歳以上の集団を代表するものではないかもしれないが、外来患者での抗菌薬の処方を適正化し、高齢者集団における新型コロナのようなウイルス感染症に対する不要な抗菌薬の使用を回避することの重要性を強調する」としている。
成人の咽頭炎の多くはウイルス性であり、抗菌薬は不要である。特に咳、鼻汁、嗄声など咽頭以外の症状を伴う場合には、ウイルス性の可能性が高い。成人では細菌性咽頭炎は20%程度で、その多くがA群溶血性連鎖球菌(GAS)によるため、ペニシリンGまたはアモキシシリンで治療する。治療の目的は、症状の緩和(1-2日間罹病期間が短縮)、扁桃周囲膿瘍のような化膿性合併症の予防(NNT27)、周囲への飛沫感染予防(投与後24時間で感染性が減少)、リウマチ熱の予防(NNT3000〜4000)である1)