粘膜免疫での IgA 産生をマクロライド系抗生剤のクラリスロマイシンが増強す


○ファクシミリ等での抗インフルエンザ薬の処方について(平成21年10月16日 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部)

・各都道府県の判断により、慢性疾患等を有する定期受診患者等については、感染源と接する機会を少なくするため、電話による診療により診断できた場合には、診療した医師はファクシミリ等により抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんを患者が希望する薬局に送付することが可能となること。
・長野県では10月28日から可能となった。(平成21年10月28日付21健号外・21薬号外 長野県衛生部長)


池松秀之, 他: インフルエンザの呼吸器症状に対するクラリスロマイシンの効果--オセルタミビル治療例およびザナミビル治療例での比較検討

ドライプレート(栄研化学)を用いてアンピシリン(ABPC), スルバクタム/アンピシリン(S/A), セフェピム(CFPM), セファクロル(CCL), メロペネム(MEPM), イミペネム(IPM), アジスロマイシン(AZM), クラリスロマイシン(CAM), レボフロキサシン(LVFX)について最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。Clinical Laboratory Standards Institute(CLSI)M100 ED30:2020の基準でカテゴリを判定したところ, すべての薬剤において感性であった。また, セフィナーゼディスク(BD)を用いてβ-ラクタマーゼ産生を確認した結果, 陰性であった。

○治癒証明書は不要(平成21年10月19日 文部科学省高等教育局私学部私学行政課)

・従事者等の再出勤に先立って医療機関を受診させ治癒証明書を取得させる意義はない。(厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部 平成21年10月16日)
・学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第19条の規定に基づく児童生徒等の出席停止を行った場合などでも再出席に先立って治癒証明書を取得させる意義はないと考えられます

インフルエンザ予防目的(家族がインフルエンザA発症のため)にて、リン酸オセルタミビ ..

○出席停止の期間(学校保健安全法施行規則の改正(平成24年4月1日施行))

・インフルエンザの出席停止期間の基準については、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあっては、三日)を経過するまで」に変更された。尚、発症日、解熱日を0日として数える。
つまり、発症日を0日目として、三日目までに解熱した場合は、六日目から出席可である。

○抗インフルエンザウイルス薬の予防投与について(平成21年8月25日 厚生労働省)

・原則として予防投与は行わないが、基礎疾患を有する者等で感染が強く疑われ、かかりつけ医により重症化の危険性があると判断される場合には、予防投与を行う。
・抗インフルエンザウイルス薬は、通常に流通しているものを使い、必要な費用は、被投与者の自己負担とする。

報告されている。本研究では、マウスにインフルエンザA(H1N1)ウイルスを感染させてクラリスロマイシンを投

○備蓄薬の放出について(平成21年9月4日)

通常流通している抗インフルエンザウイルス薬の市場在庫の枯渇が予測され、新型インフルエンザを治療する医療機関及び抗インフルエンザウイルス薬を調剤する薬局において治療等に影響がある場合に「県備蓄薬」を放出する。

☆インフルエンザにクラリスロマイシンが有効
・大正富山医薬品株式会社のデータによると
①クラリスロマイシンの添加により、培養細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖を抑制した。
②クラリスロマイシン投与により活発な線毛運動が維持され、ウイルスの増殖も抑制されていることがわかった。
③クラリスロマイシンはIL-12の産生促進を介して、粘膜免疫に重要なIgAなどの抗体産生を増強していることが明らかになった。
ということです。
東北大学の渡辺彰助教授によると「ニューキノロン投与の場合と比較し、マクロライド投与のほうが発熱回数、発熱日数共に有意に抑えられました。また、インフルエンザ様疾患患児にセフェム系抗生物質を投与した場合と比べ、マクロライド系抗生物質を投与した場合の方が発熱期間が有意に短縮し、肺炎合併率も減少していることがわかります。」ということです。渡辺彰:日胸62(9):819-827二宮恵子:JJ Antibio 56(A):84-86,2003 (2004.12.08記)

○抗インフルエンザウイルス薬の選択(10代の患者にタミフルを投与してよい)(平成21年8月28日 新型インフルエンザの流行シナリオ)

・10代の患者についても、合併症・既往症等からインフルエンザ重症化リスクの高い患者に対し、タミフルを慎重に投与することは妨げられておらず

研究成果の概要(和文):鳥インフルエンザウイルス感染に対する新たな治療薬としてのクラリスロマイシン

今回, 国内で発症した小児IHD由来では初となるインフルエンザ菌a型株を確認した。本症例は入国後1週間の発症であること, TA8730株が世界各地におけるHiaの主要なSTであるST56であったことから, 海外からの輸入例であることが考えられた。

インフルエンザ菌(Haemophlus influenzae)はカタラーゼおよびオキシダーゼ陽性のグラム陰性短桿菌で, 中耳炎, 副鼻腔炎, 肺炎などの呼吸器系感染症の原因菌であるが, 菌血症や細菌性髄膜炎等の侵襲性インフルエンザ菌感染症(IHD)を引き起こすことでも知られている。本菌の中でも特に血清型b型(Hib)は小児髄膜炎の重要な起因菌であるが, Hibワクチンの定期接種化以降, HibによるIHDは劇的に減少し, 無莢膜型(NTHi)によるIHDが増加している1)。一方, 国内における血清型a型(Hia)によるIHDの発生報告は大変稀で, 2019年に成人症例が1例報告されたのみである2)。今回, 国内で初めて小児IHD症例からHiaが分離されたので, 菌株の性状を含め報告する。


クラリスロマイシン5日間併用。 症例4:Ⅳ型症例:14歳、男性

○治療にあたって、簡易迅速検査の必要性について(平成21年10月16日 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部)

・臨床所見や地域における感染の拡がり等の疫学情報等から総合的に判断した上で、医師が抗インフルエンザウイルス薬による治療の開始が必要と認める場合には、治療開始にあたって簡易迅速検査やPCR検査の実施は必須ではないこと。
・診療報酬及び調剤報酬上も、抗インフルエンザウイルス薬の投与にあたり迅速検査の実施は必須ではないこと。

翌日、医療機関を受診し、クリンダマイシン点滴、クラリスロマイシン経口投与。 ..

○うがいは効果あるでしょうか
ウイルスが気道上皮に付着してから上皮細胞内に侵入するまでの時間は30分程度と言われています。したがって感染をおこす環境においては30分おきにうがいを繰り返さないと効果はないと思われます。

アジスロマイシン(250) クラリスロマイシン(200), 5, 8, 15, 28

○成人のインフルエンザ脳症
松本市の国立病院機構まつもと医療センターに勤務する40代の女性看護師が1月16日朝に自宅で38.7度の発熱があり、自宅近くの医院を受診。その最中に意識障害を起こして松本病院に救急搬送され、同日夕に松本市の信州大学病院に移された。17日朝にインフルエンザが原因で脳障害などを起こすインフルエンザ脳症で死亡した。松本病院によると、看護師はインフルエンザの予防接種を受けていた。看護師は10日にインフルエンザで入院した3人の患者の担当だった。持病はなく、昨年も健康診断を2回受けており、前日の勤務でも体調に変化はなかったという。(平成27年1月20日付信濃毎日新聞)

インフルエンザ脳症とは、ウイルスが脳に入って悪さをするのではなく、ウイルスに体の免疫が過剰反応して起きると考えられている。通常は小児がかかり、健康な成人は国内で1シーズンに1人かかるかどうかという極めてまれな病気だ。(平成27年1月21日付信濃毎日新聞 金井信一郎信州大病院感染制御室副室長談)


○季節性インフルエンザによる死亡者数
人口動態統計によると、過去10年間に季節性インフルで無くなった人は年平均約800人もいる。インフルをきっかけに肺炎などで亡くなった人の数を示す「超過死亡」という推定値でみても、季節性が流行した年は高齢者を中心に数千人~3万人が亡くなっている。(平成21年12月27日 読売新聞)

インフルエンザワクチン接種後に生じた急性汎発性発疹性膿疱症の1例

○インフルエンザ外来診療における感染防御の方法(平成21年8月27日 長野県衛生部)

・玄関・入口等に近いところで患者・来訪者に対してインフルエンザ様症状の有無を確認するか、注意を促すよう努める。
・可能な限り、インフルエンザ様症状の患者とその他の患者の受診待ちの区域を分けるように努める。(衝立をたてるなど)
・患者が触れた部分は、適宜、アルコール等で消毒をする。
・常時、サージカルマスクを着用していることが望ましい。
・検体を採取する場合は、眼の防護(ゴーグル等)と手袋を追加する。そして、この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行う。

ルム形成前からのクラリスロマイシンへ曝露が、インフルエンザ菌のバイオフィルムを抑.

2012-13年流行期、ウイルス分離の検体総数は1,019件でした。インフルエンザ迅速診断キットの精度は、ウイルスの変化などの影響を受けますが、ウイルス分離あるいはPCRのどちらかでウイルスが検出された症例における迅速診断キットの感度は、99.8%で、キットでA型と判定された566例の陽性試験予測率は91.0%であり、タウンズ社などのキットの有用性は今シーズンも高いと考えられました。
2012-13年度ワクチン株はA/California/7/2009(H1N1)pdm09、A/Victoria/361/2010(H3N2)、 B/Wisconsin/01/2010(B)でした。ワクチン接種後のHI抗体価40倍以上の割合は、194例においてH1N1pdm09が85.1%、H3N2が95.4%でA型の両亜型とも良好な抗体価の上昇がみられましたが、有効率は高くなかったようです。Bの接種後HI抗体価40倍以上の割合は69.6%で、例年同様に高い割合ではありませんでした。

[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠

小児インフルエンザウイルス感染症における抗ウイルス剤と
マクロライド併用療法に関する臨床的検討

副鼻腔炎のためクラリスロマイシンを服用しております。本日インフルエンザ予防接種を受けたのですが、服用をやめた方がいいのでしょうか。

2.インフルエンザウイルスの感染期間に関して
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班副班長 廣津伸夫

クラリスロマイシン、ルパフィン、プランルカスト、カルボシステインを飲んでおり、アラミストを点鼻して…

○インフルエンザ脳症について (平成21年11月24日 国立感染症研究所感染症情報センター)

全国の医療機関から7月上旬~11月上旬に報告されたインフルエンザ脳症の患者が、28都道府県で計132人に上った。132例中、7歳が22例で最多、年齢中央値は8歳、15歳未満が98.5%であった。報告の大半が15歳未満で、最も多いのは7歳の22例だった。全体のうち男性35人、女性25人の計60人(1~24歳)について追加調査したところ、25人にぜんそくや熱性けいれんなどの基礎疾患(持病)や病歴があった。また、全員が意識障害を起こしており、発熱から意識障害が現れるまでの期間は発熱当日が12人、翌日が36人、2日目が8人と、大半が短かった。けいれんが31例、異常行動・言動が45例にみられた。転帰の回答が得られた59例中、死亡例3例(5%)、後遺症あり7例(12%)、治癒・軽快49例(83%)、入院日数2-39日(中央値9日)であった。
・新型インフルエンザの流行が本格化した9月下旬以降、インフルエンザに伴う異常行動の約6割が眠りから目覚めた直後に見られたことが、厚生労働省研究班(研究代表者=岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長)の調査でわかった。11月15日までに報告された151人について解析。全員が17歳以下で、発熱後2日目が約5割と最も多く、最も遅い例は4日目。具体的には「突然走り出す」(40%)、「おびえる」(33%)、「無いものが見える」(26%)――などが目立ち、高所からの飛び降りも6%あった。この傾向は、季節性インフルエンザとほぼ同じという。(平成21年12月9日 読売新聞)
・主な症状は、けいれんや異常言動で、脳症患者全体の8割にけいれん、2割に異常言動がみられる。患者は主に5歳以下。
2005年に厚生労働省研究班がガイドラインを作成し、メチルプレドニゾロンを点滴するパルス療法などが普及した。死亡率は、ここ数年は約8%で推移している。ただし、後遺症の割合は10年前と変らない。脳症になると、4人に1人の割合で知的障害やてんかん、手足のまひといった後遺症が残る。
今年の状況は、11月30日時点のデータによると、新型で脳症と診断されたのは78人。4~10歳と季節性よりも高い年齢に集中している。
症状にも季節性と違う特徴がみられるという。けいれんがあまり多くなく、異常行動が多いのだ。死亡したのは5人で、死亡率は季節性よりやや低め。
指針は9月に改訂され、炎症から脳を守るエダラボンという治療薬の使用も採用された。(平成21年12月25日 信濃毎日新聞)

クラリス、クラリシッドはフロモックスなどとは異なる系統の抗生物質ですが ..

○ワクチンの有効性について

・インフルエンザワクチンは、重症化や死亡の防止については一定の効果がありますが、感染防止に対しては効果が保証されるものではありません。
・いま日本で使われているワクチンは、以前にかかった人の免疫を高めるものであって、感染したことのないウイルスに対しては、効果が限られている(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザワクチンは発症を防ぐ効果はあるだろうが、いったん発症すると、脳症の発病阻止には有効性がないということです。(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザは気道から侵入するので、これを予防するためには気道で働くIgA抗体ができていることが必要ですが、現在の注射によるインフルエンザワクチンではIgA抗体はできずに、IgG抗体しかできません。IgG抗体はインフルエンザの重症化を防ぐのには役に立ちますが、気道から進入しようとするウイルスを局所で追い出すことはできないのです。(大阪大学大学院医学系研究科・免疫動態学 宮坂昌之先生 談)
・AP通信によると、ポーランドはワクチンを一切輸入していないが死亡率は他の欧州諸国と大差なかった。(平成22年2月24日 毎日新聞)
・医療従事者が再認識すべき、重要なインフルエンザワクチンの常識は、
①A香港型インフルエンザが流行した場合、高齢者にはほとんど効果がない。
②健康成人であっても、発病防止効果は40~50%でさほど高くないし、抗原変異があれば、健康成人での発病防止効果も大幅に低下する。
A香港型インフルエンザに対してワクチン効果が低い原因は、ワクチン製造の際の「鶏卵内での抗原変異」である。
鶏卵内での抗原変異は、H1N1/09にはなく、したがって鶏卵で製造したH1N1/09のワクチンは高い有効性がある。
日本では、B型インフルエンザに対するワクチン効果は低いというのが、一般的な意見である。しかし、欧米の報告を見ると、一定して50~70%の発病防止効果があり、それは小児でも高齢者でも変わらない。B型インフルエンザは、小児では入院の原因にもなり、学級閉鎖、休校を引き起こす。成人では、B型インフルエンザが流行しても、超過死亡の増加は見られず、高齢者やハイリスク患者での重要性は低い。
高齢者でのインフルエンザワクチンの重症化防止効果が強調されてきたが高齢者のワクチン接種率が高い米国、フランス、イタリア各国においても、超過死亡が低下しないことから、最近ではこのような高い重症化防止効果は疑問視されている。
菅谷憲夫 INFECTION FRONT Vol.35 P5-7 2015

抗インフルエンザ薬による獲得免疫抑制をマクロライド薬併用で阻止

文科省は、インフルエンザの出席停止期間を学校保健安全法の施行規制で、「発症後5日」の出席停止を条件に加え、幼稚園児については、解熱後の停止期間も2日から3日に改めました。そこで、その妥当性検証するため、家庭内と学校内感染の疫学調査とウイルスの消失時間における調査を行いました。
ⅰ)家族内で乳幼児と学童が同世代に感染する割合は、21%と13%で、同世代への感染率は乳幼児の方が高くii)流行状況では、保育園で1)誰とも感染の影響を持たない単独罹患者21%、2)クラスにウイルスを持ち込んだ第1罹患者16%、3)先行の罹患者の感染初期に感染を受けた者62%、4)先行する罹患者の復帰後に感染を受けた者1%であり、小学校では1)30%、2)16%、3)48%、4)5%でした。iii)経時的なウイルス力価の検討から、薬剤投与開始からウイルス消失までの時間(中央値)は、乳幼児で4.1日、学童で2.9日及び薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、1.7日、0.8日と差を認めましたが、解熱からウイルス消失までの時間には差を認めませんでした。
このことから、感染期間の判定は、解熱を基準にするのが妥当で、家族内で乳幼児に高い感染率がみられたものの、保育園で出席停止から復帰した児童からの感染は小学校より少なかったことより、出席停止期間を保育園児で長くする必要はないものと思われました。
さらに、薬剤別の薬剤投与開始からウイルス消失までの時間は、ラピアクタで2.2日、イナビルで3.2日、リレンザ で3.5日、タミフルで4.0日と有意差なく、薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、0.8日、1.7日、1.1日、1.2日とラピアクタとイナビル間以外、有意差は認められなかったものの薬剤間に治療効果の違いがあることが示唆されました。発症からから解熱までの時間は治療開始の時間と薬剤に依存するため、早期の治療と薬剤の選択が出席停止期間を左右すると思われました。