デキサメタゾンの大量投与療法では、4日連続の服薬と2〜4週間の休薬を ..


副腎におけるコルチゾールは、下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令に従って作られています。そして、ACTHとコルチゾールは早朝から午前中にかけて高値ですが、夕方から夜間は低値となり1日の中でも時間による変動(日内変動)があります。本検査でデカドロン®を内服すると、翌朝の血液中のACTH濃度は正常の場合にはほぼ完全に低下して、副腎への指令がなくなるために、副腎で作られるコルチゾール濃度も非常に低い値となります。しかし、クッシング症候群では、デカドロン®によりACTHを低下させても、副腎腫瘍からは依然としてコルチゾールが作られるために、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となることで診断しています。


デキサメタゾンを大量投与し血漿中のコルチゾル濃度を評価します。PDH と AT の鑑別

デキサメタゾンの内服の方法には様々なやり方がありますが、慶應義塾大学病院では一晩法を採用しています。一晩法では、深夜23時に低用量の場合はデカドロン®1mg(2錠)、高用量の場合は8mg(16錠)を内服していただきます。そして、翌朝の8時~9時頃に血液検査を行い、コルチゾール濃度が低下するかどうかを検査します。入院中にこの検査を行う場合は、同時に蓄尿(ちくにょう)検査(24時間に排尿した尿をすべてバッグに貯める検査)を行って、尿中のコルチゾール濃度を参考にすることもあります。

デキサメタゾン抑制試験は、クッシング症候群(「」の項参照)が疑われた場合に行う検査で、デキサメタゾン(商品名:デカドロン)は副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)で作られるコルチゾールの作用を強力にした内服薬です。

AL アミロイドーシスに対するメルファラン大量投与とメルファラン+デキサメタゾン併用投与の比較

成人の免疫性血小板減少性紫斑病の治療における高用量デキサメタゾンの役割については議論が続いている.われわれは,一連の連続した免疫性血小板減少性紫斑病の成人において,初期治療としての高用量デキサメタゾンの有効性を評価した.

免疫性血小板減少性紫斑病と新たに診断され,血小板数が 20,000/mm3 未満,あるいは血小板数が 50,000/mm3 未満で臨床上重大な出血のある,連続した患者を 1997 年 1 月~2000 年 12 月に登録した.経口デキサメタゾンを 40 mg/日の用量で 4 日間連続投与することを初期治療とした.治療への反応は,血小板数が少なくとも 30,000/mm3 上昇し,治療開始 10 日後までに血小板数が 50,000/mm3 以上になることと定義した.反応の持続は,初期治療の 6 ヵ月後の血小板数が 50,000/mm3 以上であることと定義した.

一晩大量デキサメタゾン(8 mg)抑制試験で、早朝コルチゾール濃度が前値の1/2 ..

コルチゾールの慢性分泌過剰状態が存在し、それにより高血圧および満月様顔貌、中心性肥満、皮膚線条、多毛などの特徴的な身体所見を呈する。

コルチゾール分泌過剰の原因を(表)に示す。コルチゾールはアンジオテンシノーゲンを増加させ、アンジオテンシンの生成を高め高血圧をきたす。その他、昇圧活性をもつ中間代謝型ステロイドの増加やコルチゾールによるカテコラミン増強作用なども昇圧の機序と考えられる。内分泌検査では、尿中遊離コルチゾール、17-OHSCの排泄量増加、血漿コルチゾール日内変動の消失を認め、少量デキサメタゾン投与によっても血漿コルチゾール分泌は抑制されない〔大量投与では、Cushing病では抑制されるが、腺腫・癌・異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生腫瘍では抑制されない〕。血漿ACTH値は、ACTH過剰分泌によるものでは上昇を認め、副腎皮質腺腫、癌では測定感度以下に低下している。Cushing症候群を呈する副腎腫瘍は2cm以上の場合が多く、CT、MRIでの描出が可能である。Cushing病における下垂体微小腺腫の描出はCTでは困難で、MRIにおいても限界がある。

通常成人において,投与方法による1 回の投与量(デキサメタゾンリン酸 ..

治療は、下垂体腺腫、副腎皮質腺腫、癌異所性ACTH産生腫瘍に対しては、腫瘍の摘出を行う。下垂体腺腫が残存した場合は、下垂体照射、ガンマナイフなどを行う。そのほか、腫瘍摘出ができない場合は、シプロヘプタジン、レセルピン、ブロモクリプチン、バルプロ酸などのACTH分泌抑制薬あるいは、トリロスタン、ミトタン、メチラポンなどのステロイドホルモン合成阻害薬が用いられる。

157 例の連続した患者のうち 125 例が適格患者であった.治療前の平均(±SD)血小板数は 12,200±11,300/mm3 であった.高用量デキサメタゾンへの良好な初期反応は患者 125 例中 106 例(85%)でみられた:治療 3 日目までに血小板数が少なくとも 20,000/mm3 上昇し,治療開始 1 週間後の平均血小板数は 101,400±53,200/mm3(範囲 50,000~260,000/mm3)であった.反応した患者 106 例中 53 例(50%)で反応が持続した;残りの 53 例(50%)は 6 ヵ月以内に再発し,そのほとんど(94%)は最初の 3 ヵ月以内に再発した.治療 10 日目の血小板数が 90,000/mm3 未満であることは再発のリスクが高いことと関連していた.治療は忍容性が高かった.


大量メトトレキサート療法を含む化学療法、④クロファラビン単独投与

○ 概要

1.概要
下垂体から分泌されるADH、ACTH、TSH、GH、LH、FSH、PRLの単独ないし複数のホルモン分泌障害あるいは分泌亢進により、主として末梢ホルモン欠乏あるいは過剰による多彩な症状を呈する疾患である。病因は、下垂体自体の障害と、下垂体ホルモンの分泌を制御する視床下部の障害及び両者を連結する下垂体茎部の障害に分類される。実際は障害部位が複数の領域にまたがっていることも多い。
全ての前葉ホルモン分泌が障害されているものを汎下垂体機能低下症、複数のホルモンが種々の程度に障害されているものを複合型下垂体機能低下症と呼ぶ。また、単一のホルモンのみが欠損するものは、単独欠損症と呼ばれる。一方、分泌亢進は通常単独のホルモンのみとなる。

2.原因
汎ないし部分型下垂体機能低下症では、脳・下垂体領域の器質的疾患、特に腫瘍(下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍など)、炎症性疾患(肉芽腫性疾患としてサルコイドーシス、IgG4関連疾患など、自己免疫性炎症性疾患としてリンパ球性下垂体炎など)、外傷・手術によるものが最も多い。分娩時大出血に伴う下垂体梗塞(シーハン症候群)の頻度は低下している。一方、単独欠損症はGHやACTHに多く、前者では出産時の児のトラブル(骨盤位分娩など)が、後者では自己免疫機序の関与が示唆されている。さらに抗PIT-1下垂体炎(抗PIT-1抗体症候群)など自己免疫で複合型の下垂体機能低下症をきたすこともある。まれに遺伝子異常に起因する例があり、POU1F1PIT1; TSH、GH、PRL複合欠損)、PROP1(TSH、GH、PRL、LH、FSH複合欠損)、TPIT(ACTH)、GH1GHRHR(GH)などが知られている。カルマン(Kallmann)症候群の原因遺伝子であるANOS1KAL1)などの異常はLH、FSH欠損による先天性性腺機能低下症の原因となる。近年、頭部外傷、くも膜下出血後、小児がん経験者においても下垂体機能低下症を認めることが報告されている。
また、分泌亢進症に関しては、腺腫、上位の視床下部における調節機能異常などが挙げられる。

3.症状
欠損あるいは過剰となるホルモンの種類により多彩な症状を呈する。

4.治療法
基礎疾患に対する治療
原因となっている腫瘍性ないし炎症性疾患が存在する場合は、正確な診断のもとに、各々の疾患に対し、手術や薬物療法、放射線療法などの適切な治療法を選択する。
ホルモン欠乏に対する治療
下垂体機能低下症に対しては、欠乏するホルモンの種類や程度に応じたホルモン補充療法が行われる。下垂体ホルモンはペプチドないし糖蛋白ホルモンのため、経口で投与しても無効である。このため、通常、各ホルモンの制御下にある末梢ホルモンを投与する。GHやFSHのように、遺伝子組み換えホルモン等を注射で投与する場合もある。

以下に、ホルモンごとの補充療法の概略を示す。