喫煙者を1週間禁煙させてメラトニン25mg服用すると、という報告があります。


今回、東京大学大学院理学系研究科の岡本紘幸大学院生、西澤知宏准教授(研究当時)、濡木理教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法を用いて、リガンドが結合し活性化したメラトニン受容体MT1およびGiタンパク質三量体で構成されるシグナル伝達複合体の立体構造を解明しました(図1)。これにより、メラトニン受容体が活性化するメカニズムを明らかにしました。さらに、東北大学の井上飛鳥准教授の開発したGiタンパク質三量体の活性化検出法を用いたメラトニン受容体の変異体解析により、先行研究では明らかとなっていなかった受容体の活性化に重要なアミノ酸残基を新しく特定することに成功しました(図2)。


これは眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。

同じメラトニン受容体作動薬であるロゼレムは、小児に対しては安全性が確認されていないとして、使いにくさがあるお薬でした。

オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴあるいはベルソムラ)とロゼレムを併用することはありますか?

メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンをへて作られます。

近年、X線結晶構造解析によって、睡眠障害の治療薬が結合した状態でメラトニン受容体の立体構造が報告され、薬剤の認識機構などが解明されました。しかし一連の構造解析では、受容体の安定化のために様々な変異が導入された、生理活性を示さないような変異体が用いられていました。そのため、受容体を活性化状態にする作動薬が結合しているにも関わらず不活性化型の構造を示しており、生理的な状況を反映していない状態でした。以上から、メラトニン受容体がリガンドによって活性化するメカニズムは不明なままであり、治療薬の開発に求められる詳細な作動メカニズムは解明されていない状況にありました。

「内服して短時間のうちに脳の機能を低下させる事によって眠りに導く薬」と「毎日飲んで自然な眠気を徐々に強くする薬」です。これまでの説明は「内服して短時間のうちに脳の機能を低下させる事によって眠りに導く薬でした。改良を重ね副作用の低減を積み重ねましたが、2010年に「毎日飲んで自然な眠気を徐々に強くする薬」が販売されました。2021年現在では4つの種類があります。メラトニン受容体作動薬のロゼレムとメラトラベル、オレキシン受容体拮抗薬のベルソムラとデエビゴになります。メラトニンは体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。メラトニンは脳の中にある松果体という部位から夜の20時頃から分泌されはじめ、深夜をピークに、朝になり太陽の光をあびると分泌されなくなる物質です。メラトニン受容体作動薬はメラトニンの分泌を促すお薬になります。従来の睡眠薬に高頻度で発現していた依存、耐性、反跳性不眠がなく、自然に近い生理的睡眠を誘導するお薬です。オレキシンは覚醒と睡眠を調節する神経伝達物質のひとつです。オレキシン受容体拮抗薬は、その「オレキシン」の働きを弱めることによって眠りを促す、新しいタイプのお薬です。こちらのお薬も従来の睡眠薬に高頻度で発現していた依存、耐性、反跳性不眠がなく、自然に近い生理的睡眠を誘導するお薬です。その一方で効果はソフトでマイルドなため、即効性の効果が優れる印象はありません。どちらも自然な眠気を強めるため、

メラトニンはサプリメントとして服用すると、されてしまいます。

脳の松果体ホルモンの「メラトニン」の受容体に結合して、催眠作用や睡眠リズムを調節するお薬です。受容体はM1受容体とM2受容体の2つが存在し以下の作用を行っています。

GPCRによって活性化されるGタンパク質にはいくつかの種類があり、MT1はGiと呼ばれるGタンパク質を選択的に活性化することが知られています。GPCRは一般的に活性化に際して6番目の膜貫通ヘリックス(TM6)が構造変化することが知られていますが、MT1受容体では他のGiシグナル伝達受容体に比べてTM6が大きく跳ね上がるように動くことを見出しました(図3)。これまでの研究から、Giシグナル伝達受容体ではGsシグナル伝達受容体に比べて、このTM6の構造変化が小さく、この違いが共役するGタンパク質の選択性を決めていると考えられてきました。一方、今回明らかにしたMT1受容体では、Gsシグナル伝達受容体と同程度の大きさでTM6の構造変化が見られました。したがって、このTM6の動き自体はGタンパク質シグナルの選択性とは直接的には関係がなく、TM6の構造変化の程度はむしろTM6の疎水性アミノ酸の分布に大きく依存することが示唆されました。

副作用としては、メラトニンは生理的な物質になりますので、と考えられています。

メラトニンは夜間に分泌され、睡眠の誘導や概日リズムの制御に関与するホルモンです。分泌されたメラトニンは、膜受容体タンパク質であるGPCRの一種のメラトニン受容体に結合し、メラトニン受容体がGiタンパク質三量体を介して細胞内に抑制性シグナルを伝達することで、最終的に睡眠の誘導などの生理作用をもたらします。これらの生理作用の重要性から、メラトニンおよびメラトニン受容体は、睡眠障害などの治療標的として注目を集めており、多くの作動薬が開発され、臨床に用いられていますが、これらの薬剤がどのようにしてメラトニン受容体に作用してシグナルを伝えるのかに関してはあまり分かっていませんでした。

一方で、GPCRの構造を網羅的に比較したところ、Giシグナル伝達受容体では、細胞内側の空間がGsシグナル伝達受容体に比べて狭いという特徴がわかりました(図4)。さらにGsシグナル伝達受容体に比べて、Giシグナル伝達受容体では細胞内ループなどを介した相互作用が弱く、GiのC末端のみで相互作用していることが明らかになりました。イタリアScuola Normale Superiore di PisaのRaimondi准教授による構造情報を用いたバイオインフォマティクス解析の結果から、Gsシグナル伝達受容体間ではGタンパク質と受容体の相互作用が保存されている一方で、Giシグナル伝達受容体ではばらつきが大きく、受容体ごとにやや柔軟な相互作用を形成していることが明らかになりました。以上からGi共役とGs共役の選択性はTM6の構造変化の程度の違いだけで決まるというこれまでの考えに対し、受容体の細胞内側の空間的な特徴や、細胞内ループを介したGタンパク質との相互作用など、より多くの要素が複合的に選択性に寄与することが明らかになりました。


メラトニンは視交叉上核のMT1及びMT2受容体を活性化すること

メラトニン受容体作動薬の特徴は、従来の睡眠薬とは異なり、視交叉上核以外の脳内作用がありません。よって従来の睡眠薬に発現していた反跳性不眠がありません。

2010年代になると,GABA受容体に作用しない新しい作用機序の睡眠薬

今回、東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授らのグループは、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法でメラトニン受容体MT1とGiタンパク質三量体で構成されるシグナル伝達複合体の立体構造を解明しました。さらに国内外の複数の研究室との共同研究の下で機能解析やバイオインフォマティクス解析を行い、受容体の活性化メカニズムやGiタンパク質三量体と選択的に結合する機構を明らかにしました。この研究成果により、睡眠障害の治療薬開発が促進されると共に、GPCRとGタンパク質との選択的なシグナル伝達に関する研究が進展することが期待されます。

メラトベル顆粒(メラトニン)作用機序・調剤・服薬指導のポイント

人間の体内時計は1日の24時間よりは少し長い25時間が1日であり、朝が来ると大体決まった時間に目が覚め、起きてから大体17時間くらいすると生理的に眠くなってくることが知られています。この仕組みは、朝になって光を浴びると脳内の体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。この時、体内時計からの信号で、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌が止まり、オレキシンの分泌が高まります。そしてメラトニンは目覚めてから14~16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌され、メラトニンの作用により身体の活動は低下して血圧・脈拍・体温などが下がり休息に適した状態となって眠気を感じるようになるわけです。また気持ちが高ぶって興奮すると眠れませんが、情動によりオレキシンの分泌が盛んになっているのだそうです。

メラトニンの効果は、強い抗酸化作用を持っていること。メラトニン ..

本研究における活性化型のメラトニン受容体の立体構造と、先行研究のX線結晶構造解析による不活性型の立体構造とを組み合わせることで、計算機シミュレーションによるメラトニン受容体の薬剤探索が加速することで、不眠症や、時差ボケなど概日リズムの乱れによる体調不良に対する治療薬の開発へとつながることが期待されます。

[PDF] メラトニン受容体アゴニスト ラメルテオン錠 Ramelteon Tablets

このようにオレキシンの分泌が盛んになって覚醒中枢が刺激され、睡眠中枢の働きを上回りますと覚醒し、逆に覚醒中枢の刺激が減ると睡眠中枢の方が上回って睡眠が起こると言うわけです。このオレキシンの発見およびそれより前に分かっていたメラトニンの発見は、睡眠薬にも変化をもたらせました。

メラトニンの骨減少予防作用 (整形・災害外科 63巻13号) | 医書.jp

それでは睡眠薬の開発の歴史についてお話いたします。1950年代のバルビツール酸系睡眠薬や非バルビツール酸系睡眠薬(麻酔薬や抗てんかん薬としても知られる)に始まり、1960年代にはベンゾジアゼピン系睡眠薬が開発され、作用時間や強さの異なる非常に多くの薬が発売されました。ベンゾジアゼピン系の薬は一般的な睡眠薬として今でも数多く使われておりますが、その作用機序はGABAA受容体における神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)の作用を強めることであり、これにより、鎮静、催眠、抗不安、抗けいれん、筋弛緩など様々な作用を示します。このため睡眠薬としてだけでは無く、安定剤などとしても幅広く使われます。この系統の薬は睡眠に関係のあるところだけを直接刺激するわけではないので、副作用として脱力やふらつき、一過性の健忘などが出ることがあり、習慣性や抵抗性、さらに内服を止めた時の反跳性不眠(かえって眠れなくなる)が問題となります。それらを改善すべく1989年にはベンゾジアゼピン受容体のうち睡眠作用に関わる部分だけをより選択的に刺激する非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Zドラッグと呼ばれる)も登場しております。そして2010年には睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体を刺激するメラトニン受容体作動薬が発売され、今回さらに不眠症で過剰に興奮した覚醒中枢に直接作用するオレキシン受容体拮抗薬が発売され、より自然に近い睡眠を誘発できるのではと期待されております。

高齢者に対する眠剤 【より安全性が高いとされる,作用機序の異なる新たな眠剤(メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬)の登場】

睡眠は我々の生命維持に必須であり、ホルモンなど多様な情報伝達物質で制御されます。本研究で着目したメラトニンは特に睡眠の誘導で中心的な役割を果たし、その過程ではGPCRの一種であるメラトニン受容体とGiタンパク質三量体による神経細胞の活動を抑制するシグナルが重要となります。メラトニン受容体は睡眠障害に対する治療標的として注目され、2010年に不眠症治療薬ラメルテオン(商品名ロゼレム)が承認されています。そのため、メラトニン受容体を含むシグナル伝達複合体の構造決定は睡眠のメカニズムの原子レベルでの理解のみならず、より効果的な薬の開発に貢献します。近年メラトニン受容体の結晶構造が報告されましたが、これらは不活性型構造を示しており、メラトニン受容体の活性化に伴う構造変化やシグナル伝達因子であるGiタンパク質三量体と選択的に共役する機構は不明なままでした。

メラトニン受容体作動剤(読み)メラトニンジュヨウタイサドウザイ

またメラトベルは、生理的な物質であるメラトニンと同じお薬ですので、という特徴もあります。

従来の睡眠薬とは作用のしくみが異なり、メラトニン受容体を刺激し、生理的に覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを促すはたらきがあります。

ロゼレムと同じくメラトニン受容体作動薬のメラトベルは、神経発達症の6-15歳小児にのおみ適応が認められたお薬になります。一般の睡眠障害には効果があまり認められていないようです。そのため一般の睡眠薬としては処方することができません。いわゆる発達障害や精神遅滞といわれていたようなお子さんの自然な眠気を強くする効果や入眠障害を改善する効果、昼夜逆転を改善する効果があります。またロゼレム同様に睡眠リズムを整える効果が期待でき、依存性が極めて少ないお薬です。副作用は眠気の残存や頭痛があります。

メラトニンというホルモンについて聞いたことはありますか。メラトニンは様々な作用 ..

またロゼレムは、生理的な物質であるメラトニンに作用するお薬ですので、という特徴もあります。

図2 健常者へのメラトニン投与による血中メラトニンレベルの変化

岡本 紘幸(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 博士課程1年)
井上 飛鳥(東北大学大学院薬学研究科 准教授)
西澤 知宏(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 准教授(研究当時)/横浜市立大学大学院生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室 教授(現所属)
濡木 理(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授)
寿野 良二(関西医科大学医学部 医化学講座 講師)
清水(小林) 拓也(関西医科大学医学部 医化学講座 教授)
野村 紀通(京都大学大学院医学研究科 分子細胞情報学分野 准教授)
岩田 想(京都大学大学院医学研究科 分子細胞情報学分野 教授)

医療用医薬品 : メラトベル (メラトベル顆粒小児用0.2%)

メラトニン(Melatonin, N-acetyl-5-methoxytryptamine)はその大部分が脳内の松果体で産生されるホルモンです。メラトニンは必須アミノ酸のトリプトファンを原料(基質)として合成されます(図)。その過程で、セロトニンをN-アセチルセロトニンに変換するN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)の活性が体内時計と外界の光の両者の調節を受けます。具体的には、体内時計(視床下部の視交叉上核:しこうさじょうかく)が発振する概日リズムのシグナルは室傍核(しつぼうかく)、上頸神経節を経て松果体に伝達されてNAT活性を「抑制」します。体内時計の活動は昼高夜低であるため、結果的に松果体でのメラトニンの産生量、すなわち血中メラトニン濃度は逆に昼間に低く夜間に高値を示す顕著な日内変動を示します。