そこで試験的にこの方法で胎盤停滞牛をつくりオキソアラキドン酸の効果を検


出生前に動脈管が収縮・閉鎖すると、肺動脈や心臓に大きな負荷がかかり、胎児水腫や胎児死亡などの原因になる。そのため2014年には、厚生労働省が妊娠後期の女性に対し、NSAIDsの一つであるケトプロフェン貼付剤の使用を「禁忌」とした。


デキサメタゾンは胎盤を通過し、新生児に副腎不全を起こすことがある。動物実験で催奇形作用(口蓋裂の発生)が

ジクロフェナクやフェルビナク、インドメタシン、ロキソプロフェンなど、NSAIDs貼付剤を網羅的に調査した結果、妊娠後期の女性の使用を禁じる「禁忌」として明確に記載されているものの他、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」と注意事項が記載されたもの、さらにはまったく記載のないものもあり、記載内容は必ずしも統一されていないことが明らかになった。「特に懸念されるのが、『禁忌』と明示がない貼付剤の中に、薬剤師のいないドラッグストアなどでも購入できる第2類医薬品が含まれていることです。一般消費者が知らずに購入し、妊婦が使って胎児毒性が発生してしまうかもしれません」と指摘した山折教授。薬剤師や医療関係者をはじめ専門家にこうした事実を周知し、注意を喚起する意味でも、山折教授らの研究は重要なインパクトがあった。

「ヒト胎児肝細胞に各試験化合物を曝露し、シトクロムP450(CYP)、エポキシドヒドロラーゼ、グルタチオンS-転移酵素、硫酸転移酵素(SULT)といった胎児肝臓に発現する薬物代謝酵素の発現変動を調べました。全58種類の中でひと際目を引いたのが、デキサメタゾンという副腎皮質ステロイド薬です。これでは、胎児にしか存在しないCYP3A7、およびSULT1E1が極めて高い割合で発現誘導されることがわかりました」と言う。

胎児に作用するため、妊娠中は禁忌である。したがって、妊娠中はHC、プレドニゾロ

「妊娠(受精)後、重要な器官が形成されていく4週目以降は、催奇形性に対する感受性が非常に高くなります。この時期に化学物質に曝されると、先天異常(奇形)のリスクが高まるため、注意が必要です」と説明した山折教授。医薬品の中にも、母親が服用した場合に胎盤を通じて胎児に有害な作用を及ぼすものがあるという。中でも山折教授が注目したのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)だ。「これは広く使われている解熱・鎮痛薬ですが、胎児毒性があり、妊娠後期に用いると、胎児の動脈管の収縮を引き起こすことが知られています」と語る。

さらなる実験で、デキサメタゾンによるSULT1E1の発現のメカニズムの一端も明らかになった。つまりデキサメタゾンはグルココルチコイド受容体を介してSULT1E1の発現を誘導していることがわかったのだ。「SULT1E1は妊娠中の女性ホルモンの不活性化に関与しています。つまりデキサメタゾンが、胎児の性ホルモンバランスを変化させ、胎児の成長に影響を及ぼす可能性が示唆されたといえます」

デキサメタゾンは胎盤通過性が高いため、妊娠中には胎盤通過性の低いプレドニゾロンの使用がすすめられます。 【オルミエント®】バリシチニブ

妊娠中に投与または曝露される可能性のある医薬品や化学物質のヒト胎児への影響を明らかにすることは毒性学的にとても重要です。現在、ヒト胎児肝細胞を用いて医薬品を含む化学物質の胎児毒性を評価するためのin vitro試験系の構築に取り組んでいます。本研究により胎児毒性評価系を構築できれば、化学物質のヒト胎児への影響を予測する有用な解析基盤の一つを提供できるものと考えます。

[PDF] 牛の分娩誘起が胎盤節のアポトーシスの発生に及ぼす影響